2007/04/19 スリにかける橋
今日は、歴史と地理の話しです。インド南端とスリランカは、実は不思議な橋でつながっています。
<写真1>航空写真
NASAの航空写真を見ると、インド南端とスリランカ北部を「橋」のようなものが結んでいます。これは「アダムの橋」と呼ばれており、浅瀬に砂と石を集めて作った人工の「砂州」で総延長30kmもあります。
最近の研究によると、今から170万年も昔にスリランカに現れた「ヒト」が海を渡るために作った橋であるとされています。現在、この橋は海面の上昇により大部分は海面下に沈んでいますが、引き潮の時には航空写真に映るほどの浅さまで顔を出す訳です。
また、この橋についてはインドのラーマヤーナ神話にも「インドを統治したラーマ王が自分の嫁を探すべく、スリランカに行くために民衆に作らせた。」という興味深い話が残っています。
<写真2>神話の一場面
これを見ると、確かに人々が石を海に運んでいます(左端)。
それにしても、170万年も前の構築物が残っているとは信じがたい話です。現在では、スリランカとインドの間を行き来する船にとってはこの「橋」のためにスリランカを一周せねばいけないケースが生じており、直線で30kmで行けるところが400kmになってしまうのが問題となっています。このため、「橋」を撤去しようという声もありますが、神話と結び付いていることから反対の声の方が強い一方、地震が起こった際にこの「橋」が津波を食い止める役割を担う可能性もあるため、今後の対応については白紙の状態だそうです。